世界最大の治験情報サイト「ClinicalTrials.gov」から日本でおこなわれているがんの治験(臨床試験)をリンクしました。

がんの三大治療方法

がんの三大治療方法

日本でのがん治療といえば手術を行う治療が一般的でしたが近年は放射線療法や薬物療法が進歩しがんの種類やステージ(病期)によっては手術と同等の効果を発揮するようになりました。それらの治療法を複合した集学的治療を行う場合もあるのでこの記事では合わせて解説を行なっています。

また2018年に開発された免疫治療薬の新薬であるオプジーボにも触れています。

がんの三大治療方法

日本でのがん治療といえば以下の三つに大別されます。

  • 手術
  • 放射線療法
  • 薬物療法

上記3つが近年日本で行われている治療法です。がん治療はさまざまな検査を行うことで患者さんに一番適していて身体に負担の少ない治療法を医師が探っていきます。またその検査結果に加えて患者さんの年齢や性別、身体状況、希望の治療方法などを踏まえて最終的に治療法を提案します。

従って患者さん本人だけでなく、ご家族にも充分に理解してもらう必要があります。

がんの治療法1:手術療法

手術療法はがんの病巣を切除する治療法です。またその臓器周辺組織やリンパ節に転移があれば一緒に切除を行います。早期のがんやある程度進行しているがんでも切除可能な部分がある場合は積極的に切除を行います。

しかし手術により身体にメスを入れるため創部(キズ)や全身の回復に時間がかかる場合があり、臓器や身体の機能が失われる可能性があります。

このようなデメリットを無くすため近年日本では、切除部分を最小限にとどめる縮小手術、内視鏡(小型カメラ)を使った腹腔鏡下手術、光ファイバー胸腔鏡に取り付けられた小型ビデオカメラを使った胸腔鏡下手術など身体への負担をより少なくする手術が採用され始めています。

がんの治療法2:放射線療法

放射線療法はがんの病巣部分に照射しがん細胞を死滅させる治療法です。放射線は細胞分裂を活発に行う細胞を中心に死滅させる性質を持っているため正常な細胞にあまり影響は与えずがん細胞に効果的に放射線を当てることができます。

近年では放射線を当てる方法の改善や事前の診察により、がん細胞の正確な位置や大きさをはかることができ過去の事例に比べより正確にがん細胞を死滅させることができるようになっています。

また正常な細胞はがん細胞に比べ回復能力が高いため、放射線の量を小分けにし、照射することで正常な細胞を回復しつつがん細胞を死滅させることができます。

がんの治療法3:薬物療法

薬物療法は主に抗がん剤などの化学物質や分子標的薬によって身体のがん細胞を死滅させ増殖を防ぐ治療方法です。点滴や注射、内服によって抗がん剤を投与することで血液を伝い、全身に効果のある治療方法です。

したがって、全身的ながんや小さな転移性のあるがんにも効果があります。

一方で、脱毛や慢性的な倦怠感、吐き気、しびれなどの副作用が現れることがデメリットとしてあり、肝臓や腎臓などの臓器にも負担がかかる可能性が高い治療方法になります。

しかし、近年では吐き気や白血球の減少を抑える薬が出てきており、日常生活に支障が出ない程度に副作用の症状を抑えられることができる薬が増えてきています。

分子標的薬とは

分子標的薬とは、がん細胞の増殖・転移にかかわる分子(タンパク質など)や遺伝子レベルを標的として制限することでがん細胞の分裂や増殖を抑えることを目的とした治療薬です。がん細胞そのものではなく、「細胞の増殖のメカニズム」に作用する薬です。
がん細胞の特定の分子だけを狙い撃ちするので、正常な細胞へのダメージが少なく、従来の抗がん剤に比べると体への負担も少なくなっています。

抗がん剤は、がん細胞を死滅させることを目的としてます。
分子標的薬は、がん細胞の異常な活動を抑えることを目的とし開発されています。

その他の治療方法

上記3種類以外に日本国内において近年、免疫療法も採用され始めています。免疫とは体内に入る異物を排除するための身体の機能で免疫療法は免疫の機能を使った療法になります。

免疫療法

免疫療法は体内の免疫機能を高めることでがん細胞を排除する治療方法で、2018年にノーベル医学生理学賞を受賞した京都大特別教授、本庶佑博士を中心としがん治療の新薬「オプジーボ」を開発しました。

オプジーボはT細胞であるPD-1と結合して免疫の働きがスムーズに働くようにする免疫チェックポイント阻害薬です。

オプジーボを服用することで体内の血液を伝い、T細胞であるPD-1と結びつくことでがん細胞との結合が阻害され、免疫の働きにブレーキが掛からずスムーズに働くようになります。

したがってT細胞はがん細胞より妨害を受けることなく、免疫力を発揮しがん細胞を攻撃することができるようになります。

これらを複合した「集学的治療」

上記がんの治療法4つを含めた治療方法をがんの種類やステージによって

  • 手術療法
  • 放射線療法
  • 薬物療法
  • 免疫療法

上記の4つより複数取り入れる場合があります。その場合、患者さんの身体の負担を少しでも減らすため支持療法や緩和ケア(栄養サポート)を行います。

支持療法

支持療法は、療養生活の質向上や患者さんが現在行なっている仕事や生活と両立できるようにサポートする療法です。具体例として、感染症に対して抗生剤の投与や細胞傷害性抗がん薬の副作用に対する吐き気・嘔吐に対する制吐剤の投与などが挙げられます。

緩和ケア

緩和ケアは、QLQ(クオリティ・オブ・ライフ)※生活の質 を維持するために行う治療方法です。がんと診断された場合に精神・身体的に掛かる負荷を和らげる治療を指し、がん患者だけでなく、家族を含めたサポートを行うことで療養生活の質向上をはかります。

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