小児がんの種類と症状
小児がんにはいくつかの種類があり、それぞれ名前がついています。名前は腫瘍が発生する場所や原因などによって異なり、症状も異なっています。今回は主な以下5種類を解説致します。
- 白血病
- 脳腫瘍
- リンパ腫
- 神経芽腫
- 骨肉腫
白血病
小児がんのうち約4割を占めるがんで、白血球ががん化することで起こります。
代表的な症状として、貧血・発熱などが起こります。また、脳や脊髄へと悪性腫瘍が転移することもあり、その場合には頭痛や吐き気・嘔吐などの症状が起こります。
小児白血病については、こちらで愛知県がんセンター名誉総長 大野 竜三先生が「小児がんと白血病」として詳しく解説しております。
脳腫瘍(のうしゅよう)
頭蓋骨(頭の骨)の内側に悪性腫瘍(がん)ができたものです。
小児がんの次に発生頻度が高く、小児がんの約2割を占めます。子供に多い脳腫瘍には、神経同士をつなげている細胞である星状細胞(せいじょうさいぼう)と呼ばれる細胞が侵されるグリオーマなどが代表的です。
症状には頭蓋内圧亢進(ずがいないあつこうしん)症状と巣症状(そうしょうじょう)があります。頭蓋内圧亢進症状では、頭痛・吐き気や嘔吐・ふらつき・視覚症状などが起こり、緊急の手術を要することもあります。巣症状では脳のどこが侵されるかによって症状は異なります。
症状はそれぞれが司っている機能に異常が出る場合がほとんどで、前頭葉では運動の異常、頭頂葉では読み書きの異常(左頭頂葉)や空間認知(右頭頂葉)、小脳では動きのぎこちなさなどの異常が起こります。
リンパ腫
骨髄やリンパ節などに起こる悪性腫瘍です。
リンパ系と呼ばれる骨髄やリンパ節は、免疫機能を担っており、全身に張り巡らされている器官です。
そのため、リンパ腫になると全身に症状が発生することが多い傾向にあります。悪性腫瘍の増殖速度によって症状は異なりますが、発熱や体重減少などが主な症状です。
しこりなどができて、気道が圧迫されると呼吸困難が起こりますし、重要な血管が圧迫されて血流が悪くなると麻痺などの症状が現れるケースもあります。
神経芽腫
交感神経や副腎などの臓器が侵されることで起こります。
初期段階では無症状であることが多いですが、幼児期になると発熱・貧血・眼瞼(まぶた)の以上や血圧以上が起こります。
また、肺付近へ転移した場合には息苦しさや上肢の痛みが生じることもあります。また、神経芽腫の特徴として、ミオクローヌスが起こることもあります。ミオクローヌスでは目をきょろきょろさせたり、目の不随意運動(意図していない動き)が起たりすることもあります。
骨肉腫
骨肉腫は10歳前後の子供に起こりやすいがんで、骨の中に悪性腫瘍が発生します。
大腿骨や脛骨(すねの骨)に起こることが多く、一般的には発生した部位に痛みを生じます。
小児がんを患った子供へのケア
小児がんでは日常生活から様々な症状が起こることがあります。
そのような場合は慌てずに冷静な対処を行うことが大切です。代表的な症状と対処法を以下に挙げましたので、いざというときに落ち着いて対処できるようにしておきましょう。
吐き気や嘔吐
頭蓋内圧亢進などが起きた際には吐き気や嘔吐をもよおすことがあります。
吐き気があった場合には、袋などを用意して嘔吐物が周囲に広がらないようにします。匂いが原因で吐き気を生じている場合には、香水や柔軟剤などにおいの強いものを避け、部屋の換気を行いましょう。
音楽を聞かせてリラックスさせることも有効です。また、おなかのふくらみを意識して呼吸を行う、腹式呼吸を行うと、内臓にかかる負荷を軽減することができるので、症状を治めるのに役立つことがあります。
口内炎
口内炎の予防には、うがい薬の使用やこまめな歯磨きが有効です。
歯磨きの時間が長くなる場合や、歯磨きの頻度を上げる際には、歯茎が傷つくことを予防するために、歯ブラシは柔らかめの物を使うようにしましょう。
また、唾液の分泌を促すことで、口の中を綺麗に保つことができます。のどが渇いている場合や、唾液の量が少ない場合には、あめやガムを利用するのがオススメです。口内炎が悪化してしまった場合には、歯磨きをやめ、うがいを多めに行うようにしましょう。口の中の清潔は虫歯の予防にもつながるので、できるだけ気を遣いたいケアになります。
感染症
インフルエンザをはじめとした、様々な感染症に対して予防を行うことが大切になります。38℃以上の発熱、寒気、震え、せき、下痢、排尿時痛や残尿感、性器痛、肛門痛がある場合には、感染症の可能性もあります。早めに医師の診断を仰ぐようにしましょう。
主な感染経路は口になります。食事前やトイレの前後、帰宅時などはこまめに丁寧な手洗いを行うよう、心がけましょう。また、起床時は口の中が汚れていることもあるので、朝食前にうがいをすることが大切です。万が一、うがい薬が口に残る事を嫌う場合は水でも構いません。お湯で行う等、辛くない方法で継続してこまめに行える方法を身に付けてもらいましょう。
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