小児がん発症の原因とは?治療法や発見も併せて紹介
日本では1年に15歳以下の2000〜2500人の子供が、小児がんを発症します。
これは10000人に1人の割合ですが、かつては発見が難しく、発症速度が早いことから、不治の病と言われていました。
今日も、このような特徴には変わりありませんが、1950年に抗がん剤の効果が認められて以降、治癒率が格段と上がり、小児がんと診断されても、7~80%が治るようになりました。今回はそんな小児がんの発症原因、治療法を併せて紹介します。
小児がんの発症原因
小児がんとは小児がかかるがんの総称で成人が発症するがんとは異なり、遺伝的な要因から発症、体内の細胞の異常から発症するリスクがあります。
大人のがんは、喫煙、食生活、飲酒など、生活習慣を原因とするがんが多いですね。
しかし小児がんは、成人の発症が多いがんと比較して、種類が多いため、発症原因も様々です。
発症原因は、白血病がおよそ40%、脳腫瘍がおよそ20%と合計で全体の半分以上の6割を占めています。小児がんの種類として具体例をあげると以下のような原因があげられます。
- 白血病
- 脳腫瘍
- リンパ腫
- 神経芽腫
小児がんの治療
小児がんの治療法には、抗がん剤を含めた集学的治療が採用されます。何種類もの医薬を組み合わせて治療していく形です。
この治療方法は、世界中の小児がん患児の参加から行った「比較治癒研究」の開催で作られました。
しかし、患者の10~40%が現在でもがん再発が見られます。
組み合わせる医薬としては、手術治癒、薬物療法、放射能治療などがあります。
子供特有の事情ですが、小児がんの原因となる症状があっても、子供は親にそれを上手く伝えることができないケースも多いです。このようなことから、がんの発見が遅れることもあります。
検査の流れ
小児がんを発見するきっかけとなる、検査と診断について紹介します。
がんと思っていなくても、病院で診てもらったら、がんと診断されたという事例も多いので、お医者さんの検査は、お腹を触る体の様子を見るといった、一般的な内科の検査と似ています。
がんの疑いがあれば、血液検査やがんの物質を探る腫瘍マーカー、X線やCT、MRIも使用して検査を行います。
また白血病などでは骨髄検査が行われ、血液細胞が作られる骨髄の検査をします。
CT検査
CT検査は短時間で広範囲の疾患や外傷を検査することができるという大きいメリットがある一方でデメリットとして被ばくがあります。ここ10年ほどのCT機器の進化により低線量でより鮮明な検査画像を取ることができるようになっています。
MRI検査
MRIは上記であげたCT検査のようにX線は使用しないので被ばくの心配がないというメリットがあり、検査画像も鮮明に取ることができます。しかしCT検査のような広範囲での検査はできず35cm四角程度の範囲しか検査をすることができないというデメリットがあります。
また検査にかかる時間もCTであれば5~15分程度で終わりますが、MRI検査の場合、20~30分の検査を数回行う必要があります。
治療はどこで行うか
日本国内には、厚生労働大臣が指定した「小児がん拠点病院」があります。
第三者委員会の意見を踏まえ、地域医療に貢献して、街の中心的な役割を果たす病院という条件を満たされてから指定されます。
2019年現在、15箇所の病院が指定されています。
- 北海道→北海道大学病院
- 宮城県→東北大学病院
- 埼玉県→埼玉県小児医療センター
- 東京都→国立成育医療研究センター、都立小児総合医療センター
- 神奈川県→こども医療センター
- 静岡県→静岡県立こども病院
- 愛知県→名古屋大学医学部附属病院
- 三重県→三重大学医学部附属病院
- 京都府→京都府立医科大学附属病院、京都大学医学部附属病院
- 大阪府→大阪市立総合医療センター
- 兵庫県→兵庫県立こども病院
- 広島県→広島大学病院
- 福岡県→九州大学病院
各地方に最低一つずつありますね。もちろん、この病院でしか小児がんの治療を受けられないという訳ではなく、国から認定をもらっている特に信頼できる病院であるということです。
また上記であげた15箇所の小児がん拠点病院以外にも小児がん拠点病院が指定している「小児がん連携病院」と呼ばれる病院も全国にあります。小児がん連携病院につきましては全国100拠点以上あり、調べる場合は以下のサイトから検索できます。
病院の問題点
小児がんの治療にこのような課題があります。
それは「種類は多いが扱える病院が少ない」ことです。
先述の通り、小児がんは発見が遅れる可能性が高いと言いました。
がんの症状を伝えられないなどの理由があるものの、色んな病院を回ってみても、がんだと気づける人が少なく、他の病気だと思われてしまいます。
結果的に、がんの進行が早まり、死亡率が高まるもしくは、治療が成功しても後遺症を残す恐れがあります。
ちょっとしたことでも、がんの症状と疑うのも大事です。
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